◇ギザギザに合（あ）わせピンが並（なら）び回転（かいてん）－－刀（かたな）や鉄砲（てっぽう）職人（しょくにん）の技術(shù)（ぎじゅつ）を利用（りよう）

　みなさんは何（なに）かのカギを持（も）っていますか？　おうちのカギ、機(jī)（つくえ）の引（ひ）き出（だ）しのカギ、ロッカーのカギ－－。見（み）てみるとたくさんのギザギザがついています。どうして開（あ）くのかなどカギの仕組（しく）みや歴史（れきし）を調(diào)（しら）べました。＜久保田（くぼた）修壽（のぶとし）＞

　◇“鍵（かぎ）”と“錠（じょう）”で一つの「カギ」

　「カギを忘（わす）れた」「カギが壊（こわ）れた」。二（ふた）つの表現(xiàn)（ひょうげん）を並（なら）べると、何（なに）か変（へん）？　って思（おも）いませんか。普通（ふつう）、忘（わす）れる物（もの）は「手（て）に持（も）つ鍵（かぎ）」で、壊（こわ）れる物（もの）は「扉（とびら）などについていて、鍵（かぎ）を差（さ）し込（こ）む錠（じょう）」です。別々（べつべつ）の物（もの）ですが、普段（ふだん）は両方（りょうほう）を「カギ」と呼（よ）んでいます。両方（りょうほう）合（あ）わせて「錠前（じょうまえ）」とも言（い）いますが、ここではカギという表現(xiàn)（ひょうげん）で説明（せつめい）していきます。

　カギで思（おも）い浮（う）かぶのが家（いえ）のカギ。一軒家（いっけんや）の約（やく）五〇パーセント、マンションやアパートなど集合（しゅうごう）住宅（じゅうたく）の約（やく）七〇パーセントで使（つか）われているともいわれるのが、ディスクシリンダー錠（じょう）というカギです。

　ディスクシリンダー錠（じょう）は複雑（ふくざつ）なので、原理（げんり）が同（おな）じピンシリンダー錠（じょう）を説明（せつめい）します。カギの內(nèi)部（ないぶ）には、バネの下（した）に金屬製（きんぞくせい）のピンが二本（ほん）ずつあります。これらは長（なが）さがバラバラです。カギが差（さ）し込（こ）まれると、ピンがカギのギザギザの深（ふか）さに合（あ）わせて押（お）し上（あ）げられ、境目（さかいめ）が一直線（いっちょくせん）に並（なら）びます。これで內(nèi)部（ないぶ）が回転（かいてん）でき、カギが開（あ）きます。

　正（ただ）しくないカギを使（つか）うと、ピンの押（お）し上（あ）げられる長（なが）さが正（ただ）しくないため、境目（さかいめ）がそろわずにピンが引（ひ）っかかり、開（あ）かないのです。

　◇「海老錠（えびじょう）」が日本（にっぽん）最古（さいこ）

　ピンシリンダー錠（じょう）を発展（はってん）させたのがディスクシリンダー錠（じょう）で、ピンの代（か）わりに板（いた）を使（つか）っています。ピンよりも板（いた）の方（ほう）が薄（うす）いため多（おお）く並（なら）べることが可能（かのう）で、違（ちが）ったカギを數(shù)多（かずおお）く作（つく）ることができます。

　日本（にっぽん）で確認(rèn)（かくにん）されている最古（さいこ）のカギは、大阪府（おおさかふ）羽曳野市（はびきのし）の野々上（ののうえ）遺跡（いせき）から出土（しゅつど）した海老錠（えびじょう）といわれています。七世紀(jì)（せいき）半（なか）ばの物（もの）で、エビの形（かたち）をしています。

　日本（にっぽん）ではカギはあまり発達(dá)（はったつ）しませんでした。平和（へいわ）な江戸時(shí)代（えどじだい）になると、刀（かたな）や鉄砲（てっぽう）など戦（いくさ）に必要（ひつよう）だった職人（しょくにん）の技術(shù)（ぎじゅつ）が、利用（りよう）されました。デザインに凝（こ）ったり、不正（ふせい）に開（ひら）けようとすると大（おお）きな音（おと）が鳴（な）る物（もの）も作（つく）られました。

　◇大切（たいせつ）な物（もの）を守（まも）るため複雑（ふくざつ）に進(jìn)化（しんか）

　カギは商人（しょうにん）の蔵（くら）などに使（つか）われましたが、庶民（しょみん）にはまだまだ関係（かんけい）のないものでした。長屋（ながや）など家（いえ）の中（なか）には、盜（ぬす）まれると困（こま）るような財(cái)産（ざいさん）はありませんでしたし、近所（きんじょ）の人（ひと）がお互（たが）いに注意（ちゅうい）する防犯（ぼうはん）體制（たいせい）がとれていたからです。カギを一般的（いっぱんてき）に使（つか）うようになったのは明治時(shí)代（めいじじだい）以降（いこう）です。

　「ピッキング」という言葉（ことば）を聞（き）いたことがありますか。針金（はりがね）のような細(xì)長（ほそなが）い金屬（きんぞく）の棒（ぼう）をカギ穴（あな）に差（さ）し込（こ）んで開（あ）ける犯罪（はんざい）です。一九九〇年代（ねんだい）後半（こうはん）からこの手口（てぐち）による外國人（がいこくじん）の犯罪（はんざい）が急増（きゅうぞう）。あまりの被害（ひがい）の多（おお）さに、二〇〇三年（ねん）にはピッキング用具（ようぐ）を正當(dāng)（せいとう）な理由（りゆう）なく持（も）ち歩（ある）いた場(chǎng)合（ばあい）に逮捕（たいほ）できる法律（ほうりつ）もできました。

　大切（たいせつ）な物（もの）を守（まも）るためのカギ。より複雑（ふくざつ）になるなど“進(jìn)化（しんか）”を続（つづ）けています。

毎日小學(xué)生新聞　2006年9月20日
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秘密（ひみつ）
ぎざぎざ／鋸齒狀刻紋
職人／手藝人，工匠
引き出し／抽屜
ロッカー／文件柜，帶鎖的櫥柜
仕組み／結(jié)構(gòu)，構(gòu)造
錠／鎖
扉／門
差し込む／插入，扎進(jìn)
　　　　　　?>錠に鍵を差し込んで開ける／把鑰匙插進(jìn)鎖里開開。
合わせる／合并，加在一起
思い浮かぶ／想起來，回憶起來
一軒家／孤立的房屋
ディスクシリンダー錠／圓筒狀機(jī)械鎖
バネ／發(fā)條，彈簧
ずつ／每，各
境目／分界線，交界線，分歧點(diǎn)
海老錠／掛鎖，扣鎖
薄い（うすい）?厚い（あつい）
半ば／中央，中間
　　　　　?>七世紀(jì)半ば
蔵／倉庫，庫房
近所／附近
互い／互相，彼此
以降／以后
針金／鐵絲，銅絲，鋼絲
手口／手法，方法，手段
より／更